近藤暴行比較

原典、OVA、愛蔵版と、『女神転生』には三つの形態がありますが、それらを比較し共通点と相違点を見ていこう、というコーナーです。
今回は物語の冒頭、すべての始まりのきっかけでもある、近藤による中島への暴行内容を比較してみました。(表1)

(表1) 鮮明なPDFはこちら→boukouhikakupdf.pdf

boukouhikaku.jpg 

 

暴行の酷さは、OVA>愛蔵版>>>原典でした。

殴られて吹っ飛ばされるというところが大きいですね。
やはり、映像だとひどさもひとしおです。DVDを止め絵で見ていたのですが、中島の秀麗な顔が『あしたのジョー』ばりに劇画チックに歪んでいるのに今更ながらに戦慄しました。(お手持ちの方はぜひじっくり見てみてください。作画、かなり力入ってますよ!)

OVAでは“京子がどのように中島にキスを迫ったか”が具体的に回想で描かれているわけですが、歩いているところへいきなり背後から抱きつき、草の繁る土手らしき場所に押し倒し一緒に転がり落ちながら…という、稀にみる積極性でした。これはたとえ相手が自分に好意があったとしても、つきあってもない相手にしたらダメでしょ京子…。実際中島は女の子かっていうくらいに抵抗してました。中島、ヤンキー(死語だよね…)嫌いだったんでしょうね、もともと。

今回比較のために原典と愛蔵版をじっくり読み直していて思ったのは、『京子が振られたのは中島もSだったから』だということですね。Sは同じSには惚れにくいと思うんですよ…。京子の仕返しも無意識というかナチュラルにというか“S潰し”で、ボス争いでのマウンティングのような、最も中島のプライドが傷つく方法を採っているんですね。このあたり、深層心理を想像すると非常に興味深い。(私だけか?!)

これは弓子はだめんず、M属性という話につながっていくんですが、この話はいつかまた別のところで。

 

小説ですが、愛蔵版では以下のような点が大きくリライトされていました。

近藤が教室に来たとき、震えを感じながらも“毅然と立ち上がる“(原典では特に立ち上がる描写はなく、おそらく近藤によって立たされて殴られたと思われます)、帰宅時の電車でも座席に崩れ落ちるように座り(原典では高井が座るよう促しても立ったまま)“毅然と前を見つめる”など、愛蔵版には“毅然”というキーワードが足されています。別の部分にも中島の生き方を“わが道をいく”と表現していて、特殊な天才を持ったプライドの高い彼のマイペースな姿勢が強調されているように感じられます。

歯が折れるという描写も、原典にはなかったものです。近藤と京子への怒りと恨みを際立たせるためでしょうか、暴行のレベルが上がっています。頬を殴られて折れる歯って、位置的には奥歯ですよね…?奥歯が折れるほどのダメージって…。っていうか中島、歯医者行って…!プログラミングしてる場合じゃないよ…!

また、原典ではいっさいなかった、高井が暴行されている中島を心配そうに見ていたり、その時助けに入れなかった後ろめたさから帰宅時に中島を支えかばったりといった描写が足され、彼の優しさが表現されています。
しかし中島はその後、彼をすらロキの催眠支配下に置き、儀式のアシスタントとして使っています。中島はゲームまで彼のために作ってやったこともあるようなのに、結局、彼を友達だとは思っていなかったのでしょうね…。それというのも、彼の天才のせいなのでしょうか…。

中島のセリフも、変更点が目立ちます。
『なんで、僕がこんな目に』という受け身で混乱したセリフは『ぼくの話を聞け……』という、一瞬で状況把握していて、かつ毅然と対応しようとしているものに。

また、『殺してやる』は、『許さない』へと変えられました。これは時代のせいでしょうか? 私はここは『殺してやる』の方が激しくて好きだったのですが…。ロキへのコマンドは“KILL”だったわけですし。でも、考えようによっては『許さない』の方がプライドの高さには合っているのかな?とも思えますね。

以上、中島の黒歴史の比較でした。

コメント

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  • 2014/07/16 19:58:59

皆楠じゃり

2016.7.13 解像度が悪かった表を、PDFと並列配置しました。(最初からやれ)
PDFだと画像サムネイルが出なかったので画像を置いてたのですが、気になったので修正。

  • 2016/07/13 21:52:45

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